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総合健康センターの古川先生と光学医療診療部の山本安則先生がまとめた月経困難症と過敏性腸症候群との関連性についての論文がDigestive Diseases(IF 2.3)にアクセプトされて、オンラインとなりました。
 

お知らせ

論文の要旨:

最近、骨盤内臓器のクロストークが報告されており、Pelvic organ cross-sensitizationという概念が広がりつつあります。間質性膀胱炎、過敏性腸症候群、子宮内膜症とそれぞれ双方向の関連性が報告されています。なかでも月経困難症と過敏性腸症候群との関連も欧米を中心として報告されておりましたが、日本人をはじめとしたアジア人種でのエビデンスはありませんでした。
そこで、愛媛大学の学生健診データのうち、女性学生4693名を対象として解析を行いました。
過敏性腸症候群はROMEⅢの基準で定義し、本コホートでの過敏性腸症候群の有病率は6.1%でした。
自己申告の月経痛のうち、痛みなしをreferenceとしたところ、中等度痛みの補正後OR 1.89 [95% CI: 1.27-2.91]) および高度の痛み (adjusted OR: 2.14 [95% CI: 1.42-3.45])は独立して有意でした。
痛みのコントロールのための薬物使用頻度も同様に頻度が高いほど、過敏性腸症候群が有意に多く、その関連性は独立していました。月経不順との関連性はありませんでした。
また、機能性ディスペプシア例は除外しても同様の結果でした。
女性のおいては月経周期によって腸管運動が変化することが報告されており、月経困難症と過敏性腸症候群との関連に矛盾ないと思われます。一方で、NSAIDSやピルの使用によって過敏性腸症候群に類似した症状が出現することも過去報告されているようです。
過敏性腸症候群などは投薬によって症状が緩和しにくい疾患の一つですが、時にNSAIDSなどで症状が緩和する症例も経験します。もしかすると腸管運動だけでなく、痛みの閾値のコントロールを通じて、症状が緩和されてるかもしれません。今後は縦断研究が必要と思われます。

 
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愛媛大学大学院
消化器・内分泌・代謝内科学
(第三内科)
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