POEM研修報告および治療開始のお知らせ
2019年9月2日 7:29 AM
愛媛大学医学部附属病院 第三内科・愛媛大学大学院 地域消化器免疫医療学講座 助教の富田英臣(とみだひでおみ)と申します。
いつも患者さまのご紹介をいただき、誠にありがとうございます。
私は2018年9月より1年間、昭和大学江東豊洲病院消化器センター(東京都江東区)に食道アカラシアおよびその類縁疾患に対する内視鏡下筋層切開術(Per-Oral Endoscopic Myotomy : POEM(ポエム))の技術習得のため留学に行ってまいりました。
POEMは、昭和大学江東豊洲病院の井上晴洋先生により開発された内視鏡治療で、食道アカラシアに対する外科手術(Heller-Dor手術)と同等あるいはそれ以上の効果が期待できます。当該施設は年間300例を超えるPOEMを行っており、国内で最も多い患者さんの治療にあたっています。四国ではこの治療を行える医療機関はなく、その診断・治療を地域の患者さまに提供することを目的として、修練を積んで帰局いたしました。
現在、高難度手技の申請を院内で行い、治療開始にむけて準備をすすめており、2019年10月~11月には治療を開始する予定です。以前にバルーン拡張を行ったり、手術を受けられた患者さんでも症状が十分改善していない方は治療の対象となります。
食道アカラシアは10万人に1人と稀な病気ですが、稀であるために見つけにくい病気でもあります。「呑み込むと胸でつかえる」「夜間に食べたものが口に上がってくる」などの症状がありましたら、まずは検査を受けていただくことが診断の第一歩です。そのような症状がありましたら、当方の外来にぜひご紹介、ご相談いただければ幸いです。どうかよろしくお願い申し上げます。
愛媛大学医学部附属病院 第三内科
富田 英臣
内視鏡的筋層切開術(POEM) (Inoue H. J Am Coll Surg. 2015より引用)