大野芳敬先生の自己免疫性膵炎に関する論文がOrphanet Journal of Rare Diseaseにacceptされました。
2016年7月21日 8:46 AM
論文名:Early pancreatic volume reduction on CT predicts relapse in patients with type 1 autoimmune pancreatitis treated with steroids
著者:Yoshinori Ohno; Teru Kumagi; Tomoyuki Yokota; Nobuaki Azemoto; Yoshinori Tanaka; Kazuhiro Tange; Nobu Inada; Hideki Miyata; Yoshiki Imamura; Mitsuhito Koizumi; Taira Kuroda; Yoichi Hiasa
掲載誌:Orphanet Journal of Rare Diseases (in press)
以下、大野先生からのコメントです。
この論文は、自己免疫性膵炎(AIP)においてCTにおける膵容積の早期変化がステロイド治療後の再燃を予測するという報告です。AIPは良性疾患ですが、日常診療において再燃が多いと感じていました。今まで治療前の因子と再燃の関係の報告はされていましたが、ステロイド治療経過においてC型肝炎のインターフェロン治療における早期のSVR予測みたいなものがないものかと思ったことがきっかけでした。
私が経験しましたAIPの方は著名な膵腫大があったのですが、ステロイド治療によって著名に縮小しました。また、その後の経過も良好でした。伸縮性のあるゴムのようなもので、線維化が進んだAIPにおいてはその変化が小さいために胆管や膵管の狭窄などが起こりやすく、再燃につながるのではないかと考えました。また、膵容積の初期の変化がステロイド抵抗性を反映するのではないかと考えました。
初めは14例でまとめて発表し、これで終わりの予定でしたが、熊木先生がとても褒めてくれて(おだてられて?)・・是非症例を増やして解析してみよう、と言ってくれたことが始まりでした。最終的には41例のAIP症例で解析することができました。ご協力下さいました先生方、ご指導して頂いた熊木先生には大変お世話になりました。この場をかりて御礼申し上げます。
以下、熊木先生からのコメントです。
褒めて育てる。これが基本です。まあ、おだてるとも言いますが……。
冗談はさておき、大野先生おめでとうございます。初めに発想を聞いた時には、(元々思っていましたが)患者さんひとり1人を丁寧に診療している先生なんだなとあらためて感心しました。
コメントにありますように、AIPはステロイド治療によく反応する疾患ですが、一方では再燃も多く、ステロイド長期投与に伴う副作用も気になるところでありました。何か良い指標になるものはないかとの発想でした。これで、ステロイド治療を中止できる方、継続した方が良い方の区別ができれば良いですね。ただし、必ずしも多い症例での解析ではないため、やはりひとり1人の方を丁寧に診させて頂き、慎重に判断していきたいところです。