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抄読会要約まとめのご報告(第6回目)
 

お知らせ

第三内科で行われた抄読会の内容要約を週1回、同門メールにて現在までお知らせしてまいりました。第三内科ホームページ上でも抄読会内容を確認したいという希望がありましたので、定期的に今後更新してまいります。

第六回目報告をさせていただきます。

[過去抄読会要約のURLリンク]

平成23年 5月

       6月

       7月

       8月

       9月

抄読者 眞柴 寿枝
論文名 Nicotine decreases food intake through activation of POMC neurons.
著者 Mineur YS, Abizaid A, Rao Y, Salas R, DiLeone RJ, Gündisch D, Diano S, De Biasi M, Horvath TL, Gao XB, Picciotto MR.
reference Science. 2011 Jun 10;332(6035):1330-2.
サマリー
・喫煙者は非喫煙者に比べ著明にBMIが低い。

・禁煙するとすぐに4-5kg太る。

・脳のメラノコルチン系(MC system)が体重の制御に関与している。(Nature, 2000)

・脳のMC4 receptorの活性化が食欲減退や体重減少に関わる。

⇒ニコチンが、直接このニューロン系を活性化しているのではないか。

・ニコチンは、α3β4受容体を活性化することで、中枢神経系回路(視床下部メラノコルチン系)に影響を及ぼす。

・さらにPOMC ニューロン(ヒトや動物の肥満に効果があることで知られている)を活性化し、続いてメラノコルチン4(MC4) 受容体も活性化する。

・これらの結果から、ニコチンに伴う体重減少や食欲減退の根底にある、分子シナプス機構が明らかになった。

【まとめ】

・ニコチンは、特定の受容体を活性化することで、中枢神経系回路の視床下部メラノコルチン系に影響を及ぼし、食欲を減退させる。⇒喫煙者は非喫煙者よりも概して痩せている。

・ニコチンに基づく治療法が開発される可能性が示唆され、将来的には、肥満や代謝異常の抑制にも役立つと考えられた。

抄読者 有光 英治
論文名 Calcium-sensing receptor is a physiologic multimodal chemosensor regulating gastric G-cell growth and gastrin secretion
著者 Jianying Fenga, Clark D. Petersena, David H. Coyb, Jian-Kang Jiangc, Craig J. Thomasc, Martin R. Pollakd,and Stephen A. Wanka,1aDigestive Diseases Branch, National Institute
reference October 12, 2010 vol. 107 no. 41 17791–17796
サマリー
【背景】

カルシウム受容体は7回膜貫通Gタンパク共役型受容体(GPCR)の構造をとり、副甲状腺、甲状腺、尿細管、骨髄等に発現している。例えば、副甲状腺では細胞外液中のCa2+濃度のわずかな変化を感知することで副甲状腺ホルモン(PTH)分泌が速やかに変動し、[Ca2+]の恒常性が維持されている.

 最近の研究では胃・腸にもカルシウム受容体の存在が明らかになり、Caイオンだけではない恒常性維持機能としての役目が注目されてきている。これまで経口的にCaやアミノ酸を摂取した際にガストリンや酸分泌が刺激されることが分かっていたが、その詳しい分子メカニズムははっきりとしていなかった。

本研究ではCa受容体ノックアウトマウスを用いた検討がなされたので報告する。

【結果】

① Ca受容体は前庭部のガストリン産生細胞(G細胞)に局在している。

② 経口的にCa、ペプトン、中和液等を投与するとCa受容体ノックアウトマウスではガストリン応答が欠如する。またガストリンの基礎分泌も低下する。

③ ノックアウトマウスではG細胞数の減少があり、基礎ガストリン分泌量の低下との関与が示唆される。 

【まとめ】

7回膜貫通Gタンパク共役型受容体(GPCR)にはそのN末端に多価陽イオンや芳香族アミノ酸とのバインディングサイトがあり、様々な化学受容器として機能する可能性が示唆される胃前庭部のG細胞にあるCa受容体がガストリンを介した様々な化学受容器として機能しまたG細胞数の維持にも関与していることがわかった。

抄読者 川﨑 敬太郎
論文名 Intravenous delivery of a multi-mechanistic cancer-targeted oncolytic poxvirus in humans
著者 Caroline J. Breitbach, David H. Kirn
reference Nature (Published 1 September 2011)
サマリー
【目的・方法】

腫瘍細胞に選択して感染して、腫瘍を殺すウイルスについての第一相臨床試験を行った。このウイルスは、ポックスウィルスを遺伝子変異させ、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)/Ras経路が活性化されている幅広い種類の癌で増殖するように設計した。これを静脈注射で投与して、8日~10日後に腫瘍生検を行った。

対照は23人の遠隔転移もみられる癌患者で、癌種は直腸癌や非小細胞肺癌などが多く膵癌、胃癌なども含んだ。彼らを3,4人ずつ1グループに分けて、投与する量を振り分けた。

【結果】

高容量の投与群において、高頻度に腫瘍内にウイルスの増殖がみられたが、隣接する正常組織では増殖がみられなかった。

同時にβガラクトシダーゼの染色も行い、高頻度に陽性となった。

副作用としては熱や悪寒などのインフルエンザ様の症状が半数以上にみられたが、重大なものはなかった。

今回の結果で、このウイルスが一部のがん患者で治療に繋がる可能性を示唆された。

抄読者 三宅 映己
論文名 AMPK phosphorylates and inhibits SREBP activity to attenuate hepatic steatosis and atherosclerosis in diet-induced insulin-resistant mice.
著者 Li Y, Xu S, Mihaylova MM, Zheng B, Hou X, Jiang B, Park O, Luo Z, Lefai E, Shyy JY, Gao B, Wierzbicki M, Verbeuren TJ, Shaw RJ, Cohen RA, Zang M
reference Cell Metab. 2011 Apr 6;13(4):376-88.
サマリー
SREBPは糖とインスリンに制御されている脂肪合成のkey factorである。SREBP-1cは主に肝臓での脂肪酸の合成、中性脂肪の合成に関与しており、SREBP-2はコレステロールの合成、吸収に関与している。

一方で、赤ワインのポリフェノール(レスベラトロール)や合成ポリフェノールであるS17834は、人の肝癌細胞株であるHepG2や1型糖尿病モデルマウスの肝臓で、細胞内のエネルギーの調節を行うAMPKを活性化し、インスリン感受性を改善させたりする。

以前の研究で、マウスの肝臓におけるSREBPとAMPKの逆の相互関係については報告されている。しかしながら、どのようにAMPKが脂質のホメオスターシスにおいて、SREBPの活性を制御しているかは不明である。

この論文ではAMPKがSREBP-1と相互作用することと、SREBP-1を直接リン酸化することで脂質のホメオスターシスを制御していることについて報告する。

ポリフェノールやメトホルミンに対する反応において、AMPKによるSREBP-1cのSer372のリン酸化は、蛋白分解のプロセスの抑制やSREBP-1の転写活性の抑制において必要である。

AMPKによるSREBP-1のSer372のリン酸化は、SREBP-1cの切断や核移行を抑制し、高血糖にさらされた肝細胞におけるSREBP-1cのtarget geneを抑制し、脂質合成や脂質蓄積を減少する方向へ導く。

また、AMPKを活性化するために投与した合成ポリフェノールであるS17834は、高脂肪食で飼育したインスリン抵抗性を持つLDLレセプター欠損マウスにおいて、SREBP-1cのSer372のリン酸化とSREBP-1cとSREBP-2の依存した脂肪合成の抑制を介して、脂肪肝や高脂血症、動脈硬化の進行に対して抑制した。

これらのことからAMPKに依存したSREBPのリン酸化を行うことは、インスリン抵抗性や脂質異常症、動脈硬化に対する治療戦略になるかもしれない。

抄読者 Shiyi Chen
論文名 Ethnicity and nonalcoholic fatty liver disease.
著者 Bambha K, Belt P, Abraham M, Wilson LA, Pabst M, Ferrell L, Unalp-Arida A, Bass N; For the NASH CRN Research Group.
reference Hepatology. 2011, Oct.
サマリー
University of Colorado Denver, Aurora, CO.

 A fatty liver, which is a common feature in insulin-resistant states, can lead to chronic liver disease. It has been hypothesized that a fatty liver can also increase the rates of non–hepatic-related morbidity and mortality. In this study, they wanted to determine whether the fatty liver index (FLI), a surrogate marker and a validated algorithm derived from the serum triglyceride level, body mass index, waist circumference, and γ-glutamyltransferase level, was associated with the prognosis in a population study. The 15-year all-cause, hepatic-related, cardiovascular disease (CVD), and cancer mortality rates were obtained through the Regional Health Registry in 2011 for 2074 Caucasian middle-aged individuals in the Cremona study, a population study examining the prevalence of diabetes mellitus in Italy. During the 15-year observation period, 495 deaths were registered: 34 were hepatic-related, 221 were CVD-related, 180 were cancer-related, and 60 were attributed to other causes. FLI was independently associated with the hepatic-related deaths (hazard ratio = 1.04, 95% confidence interval = 1.02-1.05, P < 0.0001). Age, sex, FLI, cigarette smoking, and diabetes were independently associated with all-cause mortality. Age, sex, FLI, systolic blood pressure, and fibrinogen were independently associated with CVD mortality; meanwhile, age, sex, FLI, and smoking were independently associated with cancer mortality. FLI correlated with the homeostasis model assessment of insulin resistance (HOMA-IR), a surrogate marker of insulin resistance (Spearman’s ρ = 0.57, P < 0.0001), and when HOMA-IR was included in the multivariate analyses, FLI retained its association with hepatic-related mortality but not with all-cause, CVD, and cancer-related mortality. Conclusion: FLI is independently associated with hepatic-related mortality. It is also associated with all-cause, CVD, and cancer mortality rates, but these associations appear to be tightly interconnected with the risk conferred by the correlated insulin-resistant state.

抄読者 多田 藤政
論文名 The Natural History of Nonalcoholic Fatty Liver Disease With Advanced Fibrosis or Cirrhosis : An International Collaborative Study
著者 Bhala N, Angulo P, van der Poorten D, Lee E, Hui JM, Saracco G, Adams LA, Charatcharoenwitthaya P, Topping JH, Bugianesi E, Day CP, George J.
reference Hepatology 2011 Oct;54(4):1208-16
サマリー
【背景と方法】

 NAFLDの長期的な予後の情報はまだよくわかっていない。我々はオーストラリア、アメリカ、イギリス、イタリアの4つの国際センターから進行した線維化又は肝硬変を伴うNAFLD患者247例をプロスペクティブに解析し、長期の合併症罹患率や死亡率を調べた。それらの自然史を治療に対してナイーブ又はnon-responderであるHCVの患者264例と比較した。両方のコホートはChild-pugh classAで登録時に肝生検によって確かめた進行した線維化(stage3)または肝硬変(stage4)を対象にして実施した。

【結果】

 NAFLDの群では平均85.6カ月(レンジ6-297)間followされた。肝関連合併症は48例(19.4%)でみられ33例(13.4%)の死亡または肝移植例がみられた。HCVの群では平均74.9カ月(レンジ6-238)followされた。肝関連合併症は47例(16.7%)でみられ25例(9.4%)の死亡または肝移植例がみられた。年齢や性別(BMI、DM合併率)を調節し、評価すると、肝細胞癌を含む、肝関連合併症の累積発生率はHCVよりNAFLDにおいてより低かった(P=0.03)(肝細胞癌 NAFLD vs HCV:6 vs 18 (P=0.03))、しかし、心血管イベント(P=0.17)やoverall mortality(P=0.6)において両群で差はなかった。

 NAFLD群において、stage4線維化(肝硬変)、血小板低下、血清コレステロール値やALTの低下は肝関連合併症と関係していた。AST/ALT比が1以上や高齢はoverall mortalityに関連していた。血清ビリルビン値の上昇とstage4線維化(肝硬変)は肝関連死亡率に関連していた。

【結論】

 進行した線維化や肝硬変を伴ったNAFLD患者は肝関連合併症や肝細胞癌の率はHCV患者と比較し低かったが、overall mortalityに差はなかった。

抄読者 小泉 洋平
論文名 Increasing burden of liver disease in patients with HIV infection
著者 Deepak Joshi, John O’Grady, Doug Dieterich, Brian Gazzard, Kosh Agarwal
reference Lancet 2011; 377: 1198–1209
サマリー
・HIV患者の死因で、肝疾患死はAIDS関連の死亡の次に多い。HIV患者に合併した肝疾患の特徴をまとめたreview。

・HIV患者の中で、肝臓関連の死亡のうち、HCV:66%、HBV:17%、その他の原因は、アルコール、薬物性、NAFLD.

<HCV>

  • ヨーロッパと米国のHIV感染症患者の3分の1はHCVにも感染。
  • HCV感染の90%はHCV汚染された輸血・血液製剤を経て感染。
  • HIV+HCV患者は、HIV単独感染と比べて、AIDSの進行が早く、CD4陽性細胞の回復が遅い
  • HIV+HCV患者は、12.16年早く肝硬変に至る

Fibrosisの進行が早い原因

 ①HIV感染のため、HCVへの免疫応答が弱まる

 ②inflammatoryとfibrosisに傾くサイトカイン放出を促進

 ③IL-10発現の減少

 ④インスリン抵抗性

<HBV>

  • HIV陽性患者の9割が、以前にHBVに感染したことがある
  • HIV陽性患者の1割がCH-Bとなる
  • HIV治療のためにcombined antiretroviral therapy (cART)を開始した患者は、cARTの休薬で、HBVDNAがreboundを起こす
  • HIV+HBV患者の病状の進行度合いは、HBVDNA量と関連があり、定期的にHBVDNA量を測定しなければならない
  • 急速な疾患進行はgenotypes C および Dと関係している。

<HCC>

  • HIV感染者は、非感染群と比較してHCCの平均発症年齢が若い

  HIV群:52歳、 非感染群:64歳

  • Median survivalが、 HIV感染者は、非感染群と比較して7カ月短い

<結論>

  • AIDS治療の改善により予後が改善し、HBV、HCV、NAFLD等が原因の慢性肝疾患がみられるようになってきている
  • HIV患者の適切な加療、診断のために、HIVの専門家だけでなく、肝疾患の専門家の介入が重要である

抄読者 黒田 太良
論文名 Gemcitabine Alone Versus Gemcitabine Plus Radiotherapy in Patients With Locally Advanced  Pancreatic Cancer: An Eastern Cooperative Oncology Group Trial
著者 Loehrer PJ Sr, Feng Y, Cardenes H, Wagner L, Brell JM, Cella D, Flynn P, Ramanathan RK, Crane CH, Alberts SR, Benson AB 3rd.
reference J Clin Oncol. 2011 Oct 3
サマリー
 切除不能の局所進行膵癌に対する治療として、GEM単剤群とGEM+RT(放射線療法)群の生存率を比較した論文。

2003年4月から2005年12月までに登録された、切除不能の局所進行膵癌患者71人(SMA・SMV浸潤、肝動脈浸潤、門脈浸潤、リンパ節転移、遠隔転移のあるものを「切除不能」と定義した)を、GEM単剤群(GEM 1000mg/m2/wk 6wks投与→1wk休薬→3投1休を5サイクル)37人と、GEM+RT群(GEM 600 mg/m2/wk+1.8Gy/Fx/day 5days/wk, total 50.4Gy)34人に無作為割付けし、生存率を比較した。両群間での年齢、性別、PS(ECOG)、人種、体重減少、病理学的分化度、原発部位はそれぞれ有意差を認めなかった。

結果はGEM単剤群9.2ヵ月(95%CI, 7.9-11.4)、GEM+RT群11.1ヵ月(95%CI, 7.6-15.5)とRT併用群で有意に生存期間の延長を認めた(p=0.017)。しかし、grade 4または5の有害事象の発生率は、GEM単剤群41%、GEM+RT群9%とRT併用群に有意に多くみられた。有害事象の内訳としては、好中球減少、全身倦怠感、食欲不振、嘔吐が多くみられた。

筆者らは、両群間におけるgrade 3または4の有害事象の発生率(GEM群77% v.s. GEM+RT群79%)およびPS(治療開始後6週。15-16週、36週)に有意差がみられなかったことについて言及しており、切除不能の局所進行膵癌に対するGEM放射線療法併用は、許容できる毒性の範囲内で、GEM単剤に比して生存率を改善すると結論している。

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消化器・内分泌・代謝内科学
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