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抄読会要約まとめのご報告(第二回目)
 

お知らせ

第三内科で行われた抄読会の内容要約を週1回、同門メールにて現在までお知らせしてまいりました。第三内科ホームページ上でも抄読会内容を確認したいという希望がありましたので、定期的に今後更新してまいります。

第二回目報告をさせていただきます。

[過去抄読会要約のURLリンク]

平成23年 5月(前回報告分)

抄読者 上田晃久
論文名 Testosteron Replacement in hypogonadal men with type2 doabetes and/ or metabolic syndorome(THE TIMES2 Study)
著者 Jones TH, Arver S, Behre HM, Buvat J, Meuleman E, Moncada I, Morales AM, Volterrani M, Yellowlees A, Howell JD, Channer KS; TIMES2 Investigators
reference DIABETES CARE volume34 April 2011 P828-837
サマリー
【目的】

 2型糖尿病、メタボリック症候群の男性を対象にテストステロン補充療法がインスリン抵抗性や心血管イベントのリスクになると評価すること。

【研究方法】

 220人の2型糖尿病もしくはメタボリック症候群の性腺機能低下男性を対象に2%ゲルのテストステロンを12ヶ月塗布投与し、その効果・安全性・忍容性を評価した。この研究は、前向き・ランダム化・二重盲検・プラセボコントロール研究。第一の結果は、ベースラインからのインスリン抵抗性(HOMAR)の変化。次に体組成変化・血糖管理・脂質管理・性機能評価の評価。

【結果】

 テストステロン投与にてHOMAIRは、6か月の時点で15.2%低下(P0.018)、12ヶ月の時点で16.4%低下(P0.006)。

2型糖尿病男性においては、開始9か月でプラセボ群に比較して血糖管理は改善。HbA1cは、-0.446%低下(P0.035)。総コレステロール・LDLコレステロール・リポプロテインA・体組成・性機能はグループにおいては、改善が見られた。

Lpaは、投与6か月の時点でプラセーボに比較して低下(1.44→1.22、1.4→1.59)。

メタボリック症候群合併の男性では、テストステロン投与にて6か月の時点でLpa、総コレステロール、LDLコレステロールの低下が著名に見られた。

副作用に関しては、差が見られなかった。

【結論】

 性腺機能低下のある2型糖尿病もしくはメタボリック症候群の男性にテストステロンを6か月以上補充することは、インスリン抵抗性や脂質管理、性腺機能改善に有効であると考えられた。

抄読者 畔元 信明
論文名 Pancreatic volume and endocrine and exocrine functions in patients with diabetes.
著者 Marie-Frauce Philippe et al
reference Pancreas 2011; 40: 359-363
サマリー
【目的】

 糖尿病患者における膵外分泌機能についてはいくつか報告されている。我々は膵外分泌機能の低下は膵萎縮と関係があると仮説をたてた。

【対象・方法】

 対象は35名の膵外分泌機能が低下している糖尿病患者と、その群と年齢、BMIを一致させた17名の膵外分泌機能の低下していない糖尿病患者の17名。CTで膵の体積を測定し、内分泌機能についてはグルカゴン負荷試験、外分泌機能については便中elastase-1、便中chymotrypsinを用いて検討した。

【結果】

 膵の体積はほとんどの患者で低下していた(中央値 42cm3)。膵の体積は便中chymotrypsin活性、グルカゴン負荷後の血清CPRと相関がみられた。

【結論】

 糖尿病患者では膵体積がほとんどの患者で低下しており、また膵体積は便中chymotrypsin活性、グルカゴン負荷後の血清CPRと相関していた。しかしながら、膵血流、線維化などの因子の関与も考えられさらなる検討が必要である。

抄読者 竹治 智
論文名 Proton pump inhibitor use and risk of adverse cardiovascular events in aspirin treated patients with first time myocardial infarction: nationwide propensity score matched study.
著者 Mette Charlet, research fellow, Department of Cardiology, Copenhagen University hospital, et al.
reference British Medical Journal 2011;342:d2690 (published 11 May, 2011) British Medical Journal 2011;342:d2690 (published 11 May, 2011)
サマリー
【背景】

 抗血栓症薬とProton Pump Inhibitor (PPI)の併用により抗血栓症効果が減弱し、心血管疾患リスクを高める可能性について関心がもたれている。既にClopidogrel (プラビックス®)については、PPIとの相互作用が知られている。本論文は、アスピリンとPPIとの相互作用について調べた。

【方法】

 デンマーク国内の全ての病院において、1997年~2006年の間に心筋梗塞初発入院後、アスピリンで加療され、30日以上生存しその後1年間follow-upされた全患者(Clopidogrelで加療された患者は除く)を対象とした。心血管関連死、心筋梗塞の再発、または、脳梗塞の発症をエンドポイントとして、PPI (Pantoprazole, Omeprazole, Lansoprazole, Esmoprazole) 投与に関してレトロスペクティブにKaplan-Meier解析、Cox比例ハザート分析、及び、Propensity score matched Cox比例ハザード分析を行った。

【結果】

 心筋梗塞初発入院 (n = 97,499) 後アスピリンで加療された19,925人中3,366人(16.9%)に心筋梗塞の再発、脳梗塞、または、心血管関連死が起こった。時間依存Cox比例ハザード分析によるPPI投与患者のこれらエンドポイントのハザード比は1.46 (1.33 – 1.61; P<0.001)。8,318人を対象としたPropensity score matched Cox比例ハザード分析によるハザード比は1.61 (1.44 – 1.79; P<0.001)であった。一方、H2ブロッカーの使用よるリスクの増加はみられなかった (1.04, 0.79 – 1.38; P=0.78)。

【結論】

 心筋梗塞初発後アスピリンで加療された患者では、PPIの使用は有害な心血管イベントの発症リスクの上昇と関連している。

抄読者 眞柴寿枝
論文名 Colorectal cancer screening with odour material by canine scent detection.
著者 Sonoda H, Kohnoe S, Yamazato T, et al.
reference Gut. 2011 Jun;60(6):814-9
サマリー
【目的】

 Colorectal cancer(CRC)の早期発見には便潜血検査が経済的で非侵襲的である。犬の嗅覚がCRCのスクリーニングに効果的かどうかを検討した。

【方法】

 呼気と水様便のサンプルをCRC患者と健常者から採取した。どちらの検体も、CRC患者から1検体、健常者から4検体採取し、これらの5検体を無作為に5つのボックスに入れた。この試験のために、癌のにおいを覚えさせる訓練を特別に行ったラブラドルレトリバーに、まずCRC患者の呼気(standard)を嗅がせ、その後それぞれの検体を嗅がせた。

【結果】

 Colonoscopyの結果と比べて、呼気では感度0.91、特異度0.99、便では感度0.97、特異度0.99であった。この精度は、早期癌に対しても同様であった。においを用いた検査であったが、喫煙や、良性の大腸病変、炎症性疾患、便潜血反応により影響は受けなかった。

【結論】

 この研究により、癌特異的なにおいが存在し、体内を循環している可能性が考えられた。CRCのスクリーニングにも効果的と考えられ、将来的に、癌特異的な揮発性有機化合物を同定することがCRCの早期発見のための新しい方法の開発に重要であると言える。

抄読者 多田藤政
論文名 Alcohol attributable burden of incidence of cancer in eight European countries based on results from prospective cohort study.
著者 Schütze M, Boeing H, Pischon T., et al.
reference SourceDepartment of Epidemiology, German Institute of Human Nutrition Potsdam-Rehbruecke, 14558 Nuthetal, Germany. m.schuetze@dife.deBMJ. 2011 Apr 7;342:d1584. doi: 10.1136/bmj.d1584.
サマリー
アルコール摂取に起因すると考えられる癌

 アルコール摂取は多くの癌のリスクファクターである。しかし、アルコール摂取に起因する癌の割合はあまり明らかにされていない。この研究では、1992~2000年の募集時には癌に罹患していなかった西欧8ヵ国(デンマーク、ドイツ、ギリシャ、イタリア、スペイン、イギリス、フランス、オランダ)の男性109,118人と女性254,870人(年齢35~70歳)を対象に、現在および以前のアルコール摂取に起因すると考えられる癌の負荷量(burden)について検討が行われた。フォローアップは2002~2005年の間に終了した。男性では24g/day、女性では12g/dayを飲酒歴ありとし研究をおこなった。男性で全ての癌の10%、女性で全ての癌の3%が、アルコール摂取に起因すると考えられた。これらの割合は特定の癌でより高くなった。男性と女性におけるアルコールに起因すると考えられる割合はそれぞれ、上部気道消化管癌で44%と25%、肝臓癌で33%と18%、結腸直腸癌で17%と4%で、乳癌は女性で5%であった。アルコールの推奨上限量(男性は1日2 drink 24g/day、女性は1日1 drink 12g/day)以上摂取することが、あらゆる種類の癌でアルコール起因すると考えられる割合の大部分を占めた(男性で57~87%、女性で40~98%)。

抄読者 山西浩文
論文名 Smoking Is Related to Pancreatic Fibrosis in Humans
著者 van Geenen EJ, Smits MM, Schreuder TC, van der Peet DL, Bloemena E, Mulder CJ
reference Am J Gastroenterol. 2011 Jun;106(6):1161-6. Epub 2011 May 17
サマリー
【背景】

喫煙は膵臓の良悪性疾患に関与していることが報告されている。

  • 膵癌の発症率増加(20年の喫煙でリスク2,3倍増加)
  • 慢性膵炎を進行させる
  • 急性膵炎、慢性膵炎急性増悪のリスク増加
  • 遺伝性膵炎、慢性膵炎における膵癌発症率の上昇

発症率が増加する膵癌、慢性膵炎は線維化が特徴

→喫煙は膵線維化を進行させ、膵癌、慢性膵炎の発症に関与しているのでは?

動物実験では喫煙が膵線維化、膵腺房細胞の破綻に関与 することが報告されている。

【目的】

 ヒトにおける喫煙と膵線維化との関係を明らかにする 。

【方法】

Retrospective study

剖検111例(900例の剖検例のうち除外項目を含まない)で喫煙歴、膵線維化を検討。

<膵線維化の評価:小葉内, 小葉間、小葉内+ 小葉間 >

grade 0 (normal or mild; 0 – 25 %の線維化)

grade 1 (moderate; 25 – 50 %の線維化)

grade 2 (severe; > 50 %の線維化)

<除外項目>

(i) 肝膵疾患例

(ii) 腹部、消化器の手術既往例(手術による膵へのリンパ球浸潤)

(iii) 過剰な飲酒歴( ≥ 21 drinks / week for men and ≥ 14 drinks / week for women)

(iv) 膵組織が評価に不適切な例

(v) 喫煙歴が記載されていない例

【結果】

 非喫煙者と比較し喫煙者は膵小葉内、膵小葉内+小葉間の線維化が有意に進行していた。しかし、膵小葉間の線維化に有意差はみられなかった。

また、膵線維化と年齢、BMI、膵へのリンパ球浸潤との間に相関はみられなかった。

never-smoker:喫煙歴なし

ex-smoker:死亡する10年以内に禁煙

actual smoker:死亡するまで喫煙

【結論】

 喫煙は膵線維化(特に膵小葉内の線維化)に関与している。膵疾患患者には禁煙を勧める必要がある。

膵小葉内の線維化に有意差がみられた原因は、膵小葉内に膵線維化に関与する膵星細胞が存在するためと筆者らは考察している。膵星細胞は喫煙による酸化ストレス 、高血糖、アルコールによる刺激に対して筋線維芽細胞に分化し、膵線維化、膵癌発生に関与していることが知られている。

抄読者 陳式儀
論文名 Liver Enzymes Are Associated With Hepatic Insulin Resistance, Insulin Secretion, and Glucagon Concentration in Healthy Men and Women.
著者 Bonnet F, Ducluzeau PH, Gastaldelli A, Laville M, Anderwald CH, Konrad T, Mari A, Balkau B; for the RISC Study Group
reference Diabetes. 2011 Jun; 60(6):1660-1667.
サマリー
Liver functional markers, specifically GGT and ALT, predict incident type 2 diabetes in various populations. However, the physiopathological mechanisms that underlie the association between GGT, ALT, and the risk of diabetes remain poorly understood.The aim of this study is to explore the association of liver enzymes with peripheral and hepatic insulin resistance, insulin secretion, insulin clearance, and glucagon concentration.1309 clinically healthy men and women from the Relationship between Insulin Sensitivity and Cardiovascular disease (RISC) study, which recruited from 19 centers in 14 European countries, were enrolled in this analysis.The main finding of this study is that in healthy men and women, increased GGT and ALT activities within their physiological ranges are associated with peripheral but also hepatic insulin resistance, increased insulin secretion, and decrease hepatic insulin clearance. Furthermore, ALT activities were positively associated with fasting glucagon concentrations, independently of insulinemia, waist circumference, or insulin sensitivity. These findings confirm the role of the liver in the pathogenesis of type 2 diabetes. The novel finding of a positive correlation between ALT and fasting glucagon concentrations needs to be confirmed in type 2 diabetes.
抄読者 木阪吉保
論文名 Changing trends in malignant transformation of hepatocellular adenoma
著者 Olivier F, Nelio F, Safi D et al.
reference Gut 2011; 60: 85-89
サマリー
【目的】

 Hepatocellular adenoma(以下HCA)は経口避妊薬を内服している女性に多いとされているが、その悪性化などに関わる因子についてははっきりした報告はない。HCAにおける悪性病変を解析することにより、悪性転換に関わる因子を明らかにする。

【対象・方法】

 1993年から2008年までに肝胆膵センターで切除され、組織学的にHCAと診断された218症例(男性 34例、女性 184例)を対象とした。全症例において、経口避妊薬内服の有無、ステロイド投与の有無、HBV、HCV、メタボリックシンドローム、合併症、背景肝について解析した。

【結果】

 検討した218例中、切除標本中に悪性転換した部分が含まれた症例は、23例(男性 16例/34例、女性 7例/184例)であった。女性において経口避妊薬と悪性転換の間に関係は見られなかった。男性16例中6例にメタボリックシンドロームの合併が見られた。

【結論】

 HCAにおける悪性転換はメタボリックシンドロームを合併した男性に高率に見られた。肝細胞腺腫の経過観察の際には、男性でメタボリックシンドローム合併した症例は特に注意が必要である。

抄読者 川崎敬太郎
論文名 Brain PPAR-γ promotes obesity and is required for the insulin–sensitizing effect of thiazolidinediones
著者 Min Lu, David A Sarruf, Saswata Talukdar, Shweta Sharma. et al
reference Nature Medicine (Published 01 May 2011)
サマリー
【背景】

 脂肪組織・筋肉・肝臓・マクロファージにあるPPARγのシグナリングはインスリン感受性に影響を与え、これらはチアゾリジン系の糖尿病治療薬で増強するとされている。神経においてもPPARγが発現することが知られてきており、本論文では神経でのPPARγシグナルが体重増加やインスリン感受性に貢献するかを検討した。

【方法・結果】

 神経細胞だけにPPARγをノックアウトしたマウス(Pparg-BKO)を作製し、高脂肪食を摂取させた。Pparg-BKOマウスにおいて食事量の減少および活動性・エネルギー消費量の増加がみられ、体重の増加が不良であった。またチアゾリジン系糖尿病薬の一つである、ロシグリタゾンを投与することで通常のマウスは食事量と体重の増加がみられたが、Pparg-BKOマウスではその増加は少なかった。

【結論】

 神経でのPPARγが活性化することで食事量の増加とエネルギーの消費が減少した。また、ロシグリタゾンによっておこる体重の増加の原因の一つに神経でのPPARγの活性化が関与すると考えた。

抄読者 三宅映己
論文名 Glycemic control, Complications, and Death in Older Diabetic Patients
著者 Elbert S. Huang, Jennifer Y. Liu, Howard H. Moffet, Priya M. John, and Andrew J. Karter
reference Diabetes care, volume 34, June 2011
サマリー
 高齢糖尿病患者の死亡率、合併症発症率をもっとも低くする血糖値のレベルを明らかにするためにKaiser Permanente Northern California Diabetesに登録をされている60歳以上の71092人の糖尿病患者を対象に2004年から2008年までの後ろ向き観察研究を行った。コックス比例ハザードモデルを用いて、HbA1cのベースラインと合併症の発症、死亡との関係を調査した。対象者の平均年齢は71±7.4歳、平均HbA1cは7.0±1.2%であった。非致死的合併症はHbA1c 6%以上では、HbA1cの増加と共に増加した。

死亡率はHbA1cの増加に対してU字カーブを描いた。HbA1cが6%未満に対して、6-9%では低く、11%を超えると増加した。

全てのエンドポイント(合併症の発症、死亡。)はHbA1cが8%を超えると有意に増加した。

これらのことから、高齢者の血糖値のコントロールは8%未満を目標に行うことを支持する。

6%未満に関しては死亡率が増加する危険があるため注意が必要である。低いHbA1cと死亡率の関係に関しては、個々の治療法の検討などさらなる調査が必要である。

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消化器・内分泌・代謝内科学
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