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肝臓グループの島本豊伎先生が前任の松山赤十字病院で経験した症例報告2篇がこの度アクセプトされました。
 

お知らせ

肝臓グループの島本豊伎先生が前任の松山赤十字病院で経験した症例報告2篇がこの度アクセプトされました。
以下島本先生よりコメントです。

前任地の松山赤十字病院在籍中から執筆していた症例報告2篇がこの度アクセプトされましたのでご報告させていただきます。

“腫瘍破裂を契機に診断され、術後腹膜播種再発した混合型肝癌の一例” 
混合型肝癌は単一腫瘍内に肝細胞癌と肝内胆管癌の両成分が混在している腫瘍です。肝細胞癌では腫瘍径の大きな病変や肝外に突出する形態の病変、増大速度が速い病変などで腫瘍破裂を起こすことがありますが、混合型肝癌の破裂例は非常に稀です。本症例は胆管癌成分主体の混合型肝癌で、乏血性腫瘍であるにも関わらず腫瘍破裂を起こした点でも非典型的な症例で、血管塞栓による止血後に外科的切除を行いました。術後12か月で肝内に再発が疑われ、単発病変であったため外科的切除を行うと肝内再発ではなく腹膜播種巣の肝癒着であることが判明しました。混合型肝癌においては治療方針について明確な指針が存在せず、症例毎に検討する必要があります。腫瘍破裂後の症例では腹膜播種の可能性も念頭に置いて画像評価や方針決定を行うことが重要と考えられました。

“GLUT-1-negative choroidal malignant melanoma with liver metastasis recurrence 12 years after surgery without FDG accumulation in the recurrent lesion on FDG-PET/CT: A case report”
眼原発悪性黒色腫は悪性黒色腫全体の約1%と非常に稀な疾患です。本症例は脈絡膜原発悪性黒色腫に対して眼球摘出術後の症例で、年1回腹部エコーで再発のスクリーニングを行っていましたが術後12年目に肝腫瘤を指摘されました。転移再発を疑い、FDG-PET/CTを撮影しましたが肝病変にFDG集積が見られませんでした。単発病変であったため診断的治療として肝切除を行い、悪性黒色腫肝転移と確定診断しました。FDG-PET/CTは腫瘍細胞内へFDG(Fluorodeoxyglucose)が取り込まれ、集積することを利用して画像評価を行っていますが、FDG取り込みに関与する膜蛋白がGLUT(glucose transporter)です。中でもGLUT-1が重要な役割を果たしており、GLUT-1発現の程度が予後にも関与することが先行研究で示されています。本症例で免疫染色を行うと原発巣、転移巣ともにGLUT-1陰性であり、FDG集積が見られなかった原因と考えられました。腫瘍増大やFDG集積とGLUT-1発現との関連性に着目して考察しています。

論文執筆にあたりご指導いただいた横田先生、越智先生をはじめ、ご協力いただいた松山赤十字病院の先生方にこの場を借りて御礼申し上げます。大学院での研究はまだまだこれからですが、臨床についても常にアンテナを張って学会発表や論文執筆につながるような診療をしていきたいと思います。

Accept後、まだPDF化されていない状況ではございますが、報告させていただきます。
島本先生、貴重な報告をありがとうございました。おめでとうございます。 HP担当

 
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消化器・内分泌・代謝内科学
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