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論文・学会・研究会の報告
 

論文・学会・研究会の報告

教室の矢野怜先生が2022年11月25日から26日に開催された第44回日本肝臓学会東部会で若手症例報告奨励賞を受賞されました。

肝細胞癌に対してアテゾリズマブ、ベバシズマブを投与しabscopal効果がおきCRが得られた症例報告を行い評価をいただきました。
おめでとう! (廣岡先生からのコメントです)

10月27日から開催されているJDDW2022(福岡)で今年もエコーハンズオンセミナーを開催しました。日浅教授と近畿大の南先生の企画により、午前が診断エコー、午後が治療エコーを中心にライブデモンストレーションが行われました。当教室からもインストラクターで廣岡と小泉が、被験者で中谷が参加しています。初めに久留米大学の黒松先生から久留米大学伝統の左からのスクリーニングエコーと体位変換を惜しみなく披露いただきました。さらに肝血流ドップラーや胆嚢・膵臓の描出、エラストグラフィの適切な方法などのレクチャーが行われました。午後からはラジオ波やマイクロ波の穿刺を最先端のエコー装置を活用しながらデモを行いました。指紋認証や顔認証を応用したフィリップス社のautoregistrationなど最先端の機能にも触れた楽しいセミナーとなりました。そして最後の討論会は白熱し過ぎてやっぱり時間超過でした。来年も続く予定です。

愛媛大学医学部附属病院 光学医療診療部の山本安則先生と愛媛大学総合健康センターの古川慎哉教授が共同で投稿しておりました、日本人若年層におけるBMIと過敏性腸症候群(IBS)に関する論文がInternational Journal of Colorectal Disease(IF 2.796)にアクセプトされました。

山本安則先生からのコメントです。

肥満度(BMI)と過敏性腸症候群(IBS)の関連は、アジア人集団では一貫しておりません。また、若年層におけるこの問題についてのエビデンスは存在しておりません。そこで、本研究では日本人の若年層におけるBMIとIBSの関連性を検討しました。
愛媛大学新入生8,923名を対象に解析した結果、IBSの有病率は6.5%、女性の有病率が男性よりも有意に高い結果でした(6.0% vs. 7.2%, p = 0.029)。また、女性では、体重過多(BMI≧25 kg/m2)であることがIBSと独立して正の相関を示しました(調整後オッズ比 [OR]。1.81[95%信頼区間(CI):1.13-2.79])。一方、男性では、BMIとIBSとの関連はみられませんでした。
肥満(過体重)は、腸管透過性や結腸および直腸における便通過速度を更新させることが報告されています。また女性の過体重は、特に不安やうつ病の発症リスクを増加させ、これはIBSのリスクともオーバーラップします。我々のこれまでの研究において、運動習慣がIBSに対し予防的に働くことが示されており、若年女性にとって、肥満予防と運動習慣はより重要かもしれません。

本研究では多くの愛媛大学の学生さんの協力によって行うことができました。また加えて、愛媛大学総合健康センタースタッフや学生健診にご協力いただいております先生へ感謝申し上げたいと思います。
引き続き宜しくお願い申し上げます。

中谷康輔先生が10月15日に徳島で開催された第32回日本超音波医学会四国地方会で新人賞を受賞しました。門脈ー肝静脈短絡路により非典型的血行動態を呈した肝細胞癌について報告し、素晴らしいプレゼンテーションをしました。

松山赤十字病院の越智裕紀先生が作成された論文がHepatology Researchにアクセプトされました。越智先生おめでとうございます。

以下は越智先生からのコメントです。

今回、全国21施設の赤十字病院のアテゾリズマブ/ベバシズマブ併用療法(アテベバ治療)のデータを使用させていただいた論文を作成しました。
本研究は武蔵野赤十字病院の黒崎雅之先生をはじめ、全国赤十字の先生方にご指導とご協力を頂きました。

論文はHepatology researchにアクセプトされました。https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/hepr.13836

要旨としては
アテゾリズマブ/ベバシズマブ治療開始前のNLR(好中球/リンパ球比)の中央値で2群に分割して、さらにpropensity score matchigを行い背景を調整しました。NLRが低値群の方が高値群に比べて有意にPFSが良好で、投与中止となるまでの期間が有意に長い結果でした。またmALBI grade別でsub-group解析を行い、mALBI grade1 or 2aであればさらにNLRがPFS延長に有意な因子となる反面、mALBI grade2bであればNLRはPFSに影響しないという結果でした。
各癌腫でNLRがOSとPFSに有意に関連するという報告はありますが、HCCでもそのような結果でした。ただ、HCCは肝予備能と腫瘍病勢の両面を考慮する必要があり、NLRも肝予備能良好な症例においてより有用なtoolとなりうると考えます。

しばらくすればopen accessになると思いますので、お時間があればぜひご一読ください。

最後に、いつもご指導ご鞭撻を頂いております同門の先生方に、この場をかりて感謝申し上げます。

この様に論文がかけるのも、先生方に日常臨床で助けて頂いているおかげである思います。今後ともよろしくお願いいたします。

教室の盛田真先生が「APASL(The Asian Pacific Association for the Study of the liver) Oncology 2022」で「Investigator Award」を受賞されました。受賞演題は「New Simple Clinical Score to Predict Hepatocellular Carcinoma after Sustained Viral Response with Direct-acting Antivirals」です。
盛田先生おめでとうございます。

教室の富田英臣先生が報告した小児食道アカラシア症例のvideo case reportがAJGに公開されています。

https://journals.lww.com/ajg/Citation/9900/Peroral_Endoscopic_Myotomy_for_Infantile.480.aspx

以下は富田先生からのコメントです。

食道アカラシアは下部食道括約筋の弛緩不全と食道蠕動波の消失により通過障害をきたす疾患です。20歳から60歳に発症することが多いとされていますが、小児の発症も多く報告されています。
本症例は15ヶ月の幼児で、離乳食摂取後の嘔吐がみられていました。先天性食道狭窄症が疑われバルーン拡張術が実施されましたが効果が乏しく、当院を受診されました。高解像度食道内圧測定や食道造影検査により食道アカラシアと診断し、内視鏡下筋層切開術(Peroral endoscopic myotomy: POEM)を行いました。乳児のため細径内視鏡、細径内視鏡用の高周波ナイフと先端フードを用いてPOEMを行い、良好な効果が得られています。
国内で報告されているPOEM実施症例では最年少であり、また、細径内視鏡を用いたPOEMは海外を含め初の報告です。幼児の食道アカラシアに対してもPOEMが治療選択肢となり得ることが示せたものと思っております。
今回の報告にあたり、診療に協力いただきました、当院の小児科、麻酔科、小児外科の先生方に厚く御礼申し上げます。

当教室では2019年より高解像度食道内圧測定などの検査を充実させ、食道運動障害の診断にあたっており、POEMをはじめとする治療を行っています。年齢を問わず、食道アカラシアをはじめとする食道運動障害が疑われる患者さんがいらっしゃいましたら、ぜひご紹介ください。

教室の盛田真先生の症例報告「肝硬変による難治性乳び腹水に対してプロプラノロールが奏功した1例」が雑誌「肝臓」にアクセプトされました


肝臓グループのホープ:盛田先生

以下、盛田先生のコメントです。

肝硬変では頻度は少ないですが乳び腹水を発症することがあり、発症機序に門脈圧亢進が関係していると考えられています。一般的に脂肪制限食、塩分制限、利尿薬で治療を開始し、改善が得られなければ絶食、中心静脈栄養、オクトレオチド投与を検討します。リンパ管損傷が疑われる場合はリンパ管造影も検討します。本症例は上記の治療で腹水の減少がみられなかったため、門脈圧亢進に対する治療としてプロプラノロールを開始したところ、腹水の著明な減少が得られました。肝硬変による乳び腹水に対してプロプラノロールは検討に値する治療法と考えられ、報告させていただきました。

論文作成にあたり多大なるお力添えをいただきました松山赤十字病院の越智先生、肝胆膵内科の先生方に厚く御礼申し上げます。今後も学会発表、論文にできる症例を探すつもりで診療にあたりたいと思います。

矢野怜先生の症例報告がInternal Medicineにアクセプトになりました。

以下、矢野先生からのコメントです。

タイトルは”A case of metastasis from renal cell carcinoma to ectopic pancreas diagnosed after resection”です。腎細胞癌術後10年経過して、膵臓に再発を来した症例です。治療として膵頭十二指腸切除を行うと、切除した十二指腸の中の異所性膵にも腎細胞癌の転移を認めました。

転移性膵腫瘍の原発として腎細胞癌は稀ではありませんが、異所性膵に転移した腎細胞癌の報告は無く、本症例が初めての報告になると思います。

本症例は腎細胞癌の一部には膵組織に転移・発育しやすいものがあるという、癌における「Seed and Soil theory」という考えを支持するのではないかと思っています。

症例報告にあたりご指導いただきました松山赤十字病院の横田先生、肝胆膵センターのスタッフの皆様に深く感謝を申し上げます。

矢野怜 拝

愛媛県立中央病院の平岡淳先生が日本肝臓学会英文誌”Hepatology Research” 2022年度High Citation awardを受賞されました。

以下、平岡先生がコメントを送ってくれました。

日本肝臓学会英文誌”Hepatology Research” 2022年度High Citation awardを受賞して

愛媛県立中央病院 消化器内科 主任部長 平岡淳

このたび栄誉ある”Hepatology Research” 2022年度High Citation awardを受賞しました。

”Hepatology Research”は日本肝臓学会の英文誌で論文採択難度の高いジャーナル(Impact factor 4.2)の1つです。

“Therapeutic potential of lenvatinib for unresectable hepatocellular carcinoma in clinical practice: Multicenter analysis.
Hiraoka A, Kumada T, Kariyama K, Takaguchi K, Itobayashi E, Shimada N, Tajiri K, Tsuji K, Ishikawa T, Ochi H, Hirooka M, Tsutsui A, Shibata H, Tada T, Toyoda H, Nouso K, Joko K, Hiasa Y, Michitaka K; Real-life Practice Experts for HCC (RELPEC) Study Group and the HCC 48 Group (hepatocellular carcinoma experts from 48 clinics in Japan). Hepatol Res. 2019;49(1):111-117. “
上記の受賞論文は愛媛県立中央病院だけではなく、愛媛大学をはじめとする全国の多施設共同研究複合組織のRELPEC/HCC48を母体として集積したデータを解析して論文化したものの1つです。
切除不能肝癌に対する一次治療薬として分子標的治療薬レンバチニブが保険収載されたわずか半年後に執筆投稿publishとなった肝癌に対するレンバチニブ初の実臨床論文です。肝予備能が良好な症例に対して実臨床においても臨床試験(治験)結果と同様に良好な治療効果が得られること、一次治療としてだけではなく二次治療以降の治療として使用しても同様な治療効果得られることが示されました。

今回頂いた賞を励みにこれからも臨床の現場に還元できる研究を診療とともに続けて行きたいと思います。
多施設共同研究複合組織に参加されている皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます、本当にありがとうございました。

 
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消化器・内分泌・代謝内科学
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