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論文・学会・研究会の報告
 

論文・学会・研究会の報告

以下、熊木先生からのコメントです。

慢性肝疾患を有するために、肝癌合併のサーベイランスとして定期的に行われている画像検査が、膵癌の早期診断に偶然繋がっていることをMayo Clinic Proceedings(IF=11.219)に発表しております(2020年度愛媛大学大学院医学系研究科最優秀論文賞、2021年度愛媛医学会賞)。

https://doi.org/10.1016/j.mayocp.2018.12.034

しかし、早期で膵癌と診断されていても慢性肝疾患(特に肝硬変)を合併しているために、必ずしも手術で根治が期待できるとは限りません。そこに焦点を当て、検証したプロジェクトでした。結果として、慢性肝疾患を有していても切除率が高く、予後の良いことが分かり、早期診断の重要性を再認識しました。

https://www.mdpi.com/2072-6694/15/3/561

今回は、Special Issue “Early Detection and Surgery for Pancreatic Cancer”と言うタイトルかつ「原著論文の投稿をお待ちしておりま〜す!」的なメールが届き、初めてMDPI系の雑誌に投稿しました。しかし、レビュー過程で腑に落ちないところが多々あり、投稿先は慎重に考えなければならないと思いました。

とは言え、オープンアクセスのため世界中の何十万、何百万人の出会ったことのない患者さんに貢献できるはずです。ここは我慢、我慢。最後に、愛媛胆膵疾患研究グループ [EPOCH (Ehime Pancreato-cholangiology) Study Group] の皆様、ご協力いただき誠にありがとうございました!

松岡海南先生が12月18日(日)に開催された第127回日本内科学会四国地方会において、初期臨床研修医奨励賞を受賞されました。便潜血検査を契機に発見された無症状メトロニダゾール抵抗性アメーバ性大腸炎について、素晴らしいプレゼンテーションを行いました。

本人からのコメントです。
今回は、メトロニダゾール抵抗性アメーバ性大腸炎に対し、パロモマイシンが有効であった症例について発表させていただきました。本症例は、メトロニダゾール1500mg/日を10日間内服しましたが内視鏡所見で改善がなく、嚢子も検出されたため、メトロニダゾール2250mg/日を10日間内服した後、パロモマイシン1500mg/日を10日間内服し、治癒が得られました。メトロニダゾール抵抗性アメーバ性大腸炎は本邦では6例報告されており、その多くがメトロニダゾールとパロモマイシンの併用で治癒しています。アメーバ性大腸炎の診療の際には、メトロニダゾール抵抗例も念頭に治療する必要があると考えます。
最後に、この度はこのような貴重な機会をいただきましたことに改めて感謝いたします。
まだまだ至らない点も多いですが、今後とも精進を重ねてまいります。ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

指導医(山本安則先生)よりコメントです。
 松岡先生には、他科研修で忙しい中、下調べから発表までとても熱心に取り組んでいただきました。いつも明るくて芯がしっかりしているため、仕事を任せても安心感があります。春からは、ついに消化器内科の道へ!これからも、一緒に仕事ができるのを楽しみにしています。また、今回は専攻医の丹下正章先生にも抄録作成時からたくさんご指導いただきました。重ねてお礼申し上げます。これからも一緒に消化管グループを盛り上げていきましょう!

済生会今治病院の八木専先生の論文「Association between Mucosal Healing and Lipid Profiles in Patients with Ulcerative Colitis: A Cross-Sectional Study」が「Digestion」に掲載されることになりました。

以下、八木先生からのコメントです。

最近の報告によると、潰瘍性大腸炎(UC)が心血管疾患(CVD)の危険因子であることが示されました。また、脂質異常症は、CVDの十分に確立された危険因子です。ただし、脂質を考慮した炎症性腸疾患 (IBD)に関する論文は限られ、さらに、IBD患者の内視鏡活動と脂質との関連を評価した研究はありません。そこで、UC患者の粘膜治癒(MH)と脂質との関連性を検討しました。今回、MHをMayo endoscopic score (MES) 0とし、221名を対象に解析した結果、脂質異常症の治療を受けていない患者では、高HDL-C (>66 mg/dL)はMHと有意に正の関連がありました (オッズ比 [OR] 2.58、95% CI: 1.04–6.64、p=0.037)。またT-cholとTGは、脂質異常症の治療薬に関係なく、MHと関連していませんでした。以上からMHは、脂質の投薬を受けていないUC患者のHDL-Cと有意に正の関連があったことを報告させていただきました。我々の研究により、疾患の状態により、MHとHDL-Cの関連性に影響を与える可能性があると考えています。

最後に、今回は愛媛潰瘍性大腸炎研究 第12報目となりますが、いつもご指導ご鞭撻を頂いております同門の先生方に、この場をかりて感謝申し上げます。この様に論文が掲載されましたのも、先生方に日頃臨床で助けて頂いているおかげである思います。今後とも、日常診療や論文という形で還元できればと考えています。今後ともよろしくお願い申し上げます。

教室の矢野怜先生が2022年11月25日から26日に開催された第44回日本肝臓学会東部会で若手症例報告奨励賞を受賞されました。

肝細胞癌に対してアテゾリズマブ、ベバシズマブを投与しabscopal効果がおきCRが得られた症例報告を行い評価をいただきました。
おめでとう! (廣岡先生からのコメントです)

10月27日から開催されているJDDW2022(福岡)で今年もエコーハンズオンセミナーを開催しました。日浅教授と近畿大の南先生の企画により、午前が診断エコー、午後が治療エコーを中心にライブデモンストレーションが行われました。当教室からもインストラクターで廣岡と小泉が、被験者で中谷が参加しています。初めに久留米大学の黒松先生から久留米大学伝統の左からのスクリーニングエコーと体位変換を惜しみなく披露いただきました。さらに肝血流ドップラーや胆嚢・膵臓の描出、エラストグラフィの適切な方法などのレクチャーが行われました。午後からはラジオ波やマイクロ波の穿刺を最先端のエコー装置を活用しながらデモを行いました。指紋認証や顔認証を応用したフィリップス社のautoregistrationなど最先端の機能にも触れた楽しいセミナーとなりました。そして最後の討論会は白熱し過ぎてやっぱり時間超過でした。来年も続く予定です。

愛媛大学医学部附属病院 光学医療診療部の山本安則先生と愛媛大学総合健康センターの古川慎哉教授が共同で投稿しておりました、日本人若年層におけるBMIと過敏性腸症候群(IBS)に関する論文がInternational Journal of Colorectal Disease(IF 2.796)にアクセプトされました。

山本安則先生からのコメントです。

肥満度(BMI)と過敏性腸症候群(IBS)の関連は、アジア人集団では一貫しておりません。また、若年層におけるこの問題についてのエビデンスは存在しておりません。そこで、本研究では日本人の若年層におけるBMIとIBSの関連性を検討しました。
愛媛大学新入生8,923名を対象に解析した結果、IBSの有病率は6.5%、女性の有病率が男性よりも有意に高い結果でした(6.0% vs. 7.2%, p = 0.029)。また、女性では、体重過多(BMI≧25 kg/m2)であることがIBSと独立して正の相関を示しました(調整後オッズ比 [OR]。1.81[95%信頼区間(CI):1.13-2.79])。一方、男性では、BMIとIBSとの関連はみられませんでした。
肥満(過体重)は、腸管透過性や結腸および直腸における便通過速度を更新させることが報告されています。また女性の過体重は、特に不安やうつ病の発症リスクを増加させ、これはIBSのリスクともオーバーラップします。我々のこれまでの研究において、運動習慣がIBSに対し予防的に働くことが示されており、若年女性にとって、肥満予防と運動習慣はより重要かもしれません。

本研究では多くの愛媛大学の学生さんの協力によって行うことができました。また加えて、愛媛大学総合健康センタースタッフや学生健診にご協力いただいております先生へ感謝申し上げたいと思います。
引き続き宜しくお願い申し上げます。

中谷康輔先生が10月15日に徳島で開催された第32回日本超音波医学会四国地方会で新人賞を受賞しました。門脈ー肝静脈短絡路により非典型的血行動態を呈した肝細胞癌について報告し、素晴らしいプレゼンテーションをしました。

松山赤十字病院の越智裕紀先生が作成された論文がHepatology Researchにアクセプトされました。越智先生おめでとうございます。

以下は越智先生からのコメントです。

今回、全国21施設の赤十字病院のアテゾリズマブ/ベバシズマブ併用療法(アテベバ治療)のデータを使用させていただいた論文を作成しました。
本研究は武蔵野赤十字病院の黒崎雅之先生をはじめ、全国赤十字の先生方にご指導とご協力を頂きました。

論文はHepatology researchにアクセプトされました。https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/hepr.13836

要旨としては
アテゾリズマブ/ベバシズマブ治療開始前のNLR(好中球/リンパ球比)の中央値で2群に分割して、さらにpropensity score matchigを行い背景を調整しました。NLRが低値群の方が高値群に比べて有意にPFSが良好で、投与中止となるまでの期間が有意に長い結果でした。またmALBI grade別でsub-group解析を行い、mALBI grade1 or 2aであればさらにNLRがPFS延長に有意な因子となる反面、mALBI grade2bであればNLRはPFSに影響しないという結果でした。
各癌腫でNLRがOSとPFSに有意に関連するという報告はありますが、HCCでもそのような結果でした。ただ、HCCは肝予備能と腫瘍病勢の両面を考慮する必要があり、NLRも肝予備能良好な症例においてより有用なtoolとなりうると考えます。

しばらくすればopen accessになると思いますので、お時間があればぜひご一読ください。

最後に、いつもご指導ご鞭撻を頂いております同門の先生方に、この場をかりて感謝申し上げます。

この様に論文がかけるのも、先生方に日常臨床で助けて頂いているおかげである思います。今後ともよろしくお願いいたします。

教室の盛田真先生が「APASL(The Asian Pacific Association for the Study of the liver) Oncology 2022」で「Investigator Award」を受賞されました。受賞演題は「New Simple Clinical Score to Predict Hepatocellular Carcinoma after Sustained Viral Response with Direct-acting Antivirals」です。
盛田先生おめでとうございます。

教室の富田英臣先生が報告した小児食道アカラシア症例のvideo case reportがAJGに公開されています。

https://journals.lww.com/ajg/Citation/9900/Peroral_Endoscopic_Myotomy_for_Infantile.480.aspx

以下は富田先生からのコメントです。

食道アカラシアは下部食道括約筋の弛緩不全と食道蠕動波の消失により通過障害をきたす疾患です。20歳から60歳に発症することが多いとされていますが、小児の発症も多く報告されています。
本症例は15ヶ月の幼児で、離乳食摂取後の嘔吐がみられていました。先天性食道狭窄症が疑われバルーン拡張術が実施されましたが効果が乏しく、当院を受診されました。高解像度食道内圧測定や食道造影検査により食道アカラシアと診断し、内視鏡下筋層切開術(Peroral endoscopic myotomy: POEM)を行いました。乳児のため細径内視鏡、細径内視鏡用の高周波ナイフと先端フードを用いてPOEMを行い、良好な効果が得られています。
国内で報告されているPOEM実施症例では最年少であり、また、細径内視鏡を用いたPOEMは海外を含め初の報告です。幼児の食道アカラシアに対してもPOEMが治療選択肢となり得ることが示せたものと思っております。
今回の報告にあたり、診療に協力いただきました、当院の小児科、麻酔科、小児外科の先生方に厚く御礼申し上げます。

当教室では2019年より高解像度食道内圧測定などの検査を充実させ、食道運動障害の診断にあたっており、POEMをはじめとする治療を行っています。年齢を問わず、食道アカラシアをはじめとする食道運動障害が疑われる患者さんがいらっしゃいましたら、ぜひご紹介ください。

 
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愛媛大学大学院
消化器・内分泌・代謝内科学
(第三内科)
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