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論文・学会・研究会の報告
 

論文・学会・研究会の報告

小西史哲先生の論文がHepatology ResearchにAcceptされました。

1年生から6年生まで第三内科に通い、少しずつデータを整理し、何とか卒業までに投稿できました。
Acceptのお祝いの電話で「自分のHepatology Researchの冊子をもって、第三内科へ挨拶に来いきます!」と言った?、言わされた言葉を期待して待っています(笑)。
これからも、頑張って下さい!

みやけてるき

山本先生、古川先生、おめでとうございます。

以下、古川先生からのコメントです。

愛媛大学医学部附属病院光学医療診療部の山本先生と一緒にまとめた運動習慣と過敏性腸症候群に関する論文がEuropean Journal of Gastrotenterology and Hepatology(IF 2.586)にアクセプトされました。愛媛大学の健診データを活用して解析を実施しました。
過去にすでに消化器疾患と診断されたものおよび治療中の対象者、体重減少などの身体症状があるものを除外したためかもしれませんが、今回のコホートでの過敏性腸症候群の有病率は6.5%とやや過去の報告よりも低値でした。
運動の頻度、主たる運動の強度、運動パートナーの存在と過敏性腸症候群との関連性を検討したところ、運動頻度は中等度で有意に低く(調整後OR 0.65 (95% confidence interval, CI: 0.51–0.83)で、主たる運動強度は強い(調整後OR0.62 [95% CI: 0.48–0.78])、および中等度(調整後OR0.76 [95% CI: 0.61–0.95])と負の関連性がありました。また、友人(調整後OR 0.71 [95% CI: 0.54–0.93])やグループ(調整後0.53 [95% CI: 0.40–0.70])での運動はそれぞれ負の関連性がありました。
すでに機能性ディスペプシアでも同様な検証をしており、機能性胃腸障害は運動の頻度、強度、一緒に運動する友人及び集団が負の関連性を持つことが示されました。
日本でも運動量を増加させたところ、過敏性腸症候群の症状が緩和した報告があることから、矛盾しないと考えられます。
引き続きさまざまな生活習慣と消化器疾患との関連性についても解析をすすめる予定です。引き続きよろしくお願いいたします。

以下は矢野先生からのコメントです。
Internal Medicineへ投稿した「A case of hepatocellular carcinoma showing tumor shrinkage due to an abscopal effect」という症例報告がアクセプトをいただきました。
論文の概要なのですが、骨転移を有する肝細胞癌の予後は不良であることが知られていますが、テセントリク+アバスチン療法で腫瘍が増悪している症例に対して、骨転移部に症状緩和としての放射線療法を行った後から腫瘍全体が縮小し、TACEなど局所療法も組み合わせることでCRを得ることができた一例になります。放射線照射によって腫瘍抗原を放出することが、効果の高い免疫療法に寄与したものと考察しております。

矢野先生、アクセプトおめでとうございます。
自転車の運転は気をつけて!!!

忙しい診療の合間、夜遅くににコーヒーを飲みながら作成された論文と推察いたします。
越智先生、論文アクセプトおめでとうございます。

以下、越智裕紀先生からのコメントです。

今回、松山赤十字病院と愛媛県立中央病院でearly stageでRFA治療を行った初発HCCのデータを使用させて頂いて論文を作成して、Hepatology Researchにアクセプトされましたので、ご報告させて頂きます。

タイトルは「The clinical role of radiofrequency ablation for early-stage hepatocellular carcinoma in an advanced aging society.」です。

要旨としては
高齢者のRFA治療は日常診療で行われていますが、本当に予後延長に寄与しているかどうかが疑問点ではありました。そこで今回は既に到来している高齢化社会において、高齢者のHCCの患者さんにRFAをすることの有用性について検討しています。early stage HCCでRFA治療を行った初発HCCの方を年齢別に4群(-70歳、70-74歳、75-79歳、80歳-)に分けて、各群の生存率、再発率、生存期間に関する因子を検討してます。80歳以上の群が一番生存期間は短く、生存期間延長に関連する因子として、肝予備能(mALBI grade)とPSが同定されています、PSに関しては80歳以上の群のみにみられる特徴で、高齢者の特徴を表していると思います。またDiscussionで、early stage HCCの無治療でのnatural courseをみた既報の論文の予後と比較して(背景が違う集団の比較にはなりますが)、高齢者でもRFA治療による生存期間の延長効果はあるであろうと考察しています。

論文作成にあたりデータ作成やご指導頂きました、平岡先生、日浅先生をはじめとした共著者の先生方に大変感謝申し上げます。

最後に、平素よりご指導ご鞭撻を頂いております同門の先生方に、この場をかりて感謝申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。

以下、熊木先生からのコメントです。

慢性肝疾患を有するために、肝癌合併のサーベイランスとして定期的に行われている画像検査が、膵癌の早期診断に偶然繋がっていることをMayo Clinic Proceedings(IF=11.219)に発表しております(2020年度愛媛大学大学院医学系研究科最優秀論文賞、2021年度愛媛医学会賞)。

https://doi.org/10.1016/j.mayocp.2018.12.034

しかし、早期で膵癌と診断されていても慢性肝疾患(特に肝硬変)を合併しているために、必ずしも手術で根治が期待できるとは限りません。そこに焦点を当て、検証したプロジェクトでした。結果として、慢性肝疾患を有していても切除率が高く、予後の良いことが分かり、早期診断の重要性を再認識しました。

https://www.mdpi.com/2072-6694/15/3/561

今回は、Special Issue “Early Detection and Surgery for Pancreatic Cancer”と言うタイトルかつ「原著論文の投稿をお待ちしておりま〜す!」的なメールが届き、初めてMDPI系の雑誌に投稿しました。しかし、レビュー過程で腑に落ちないところが多々あり、投稿先は慎重に考えなければならないと思いました。

とは言え、オープンアクセスのため世界中の何十万、何百万人の出会ったことのない患者さんに貢献できるはずです。ここは我慢、我慢。最後に、愛媛胆膵疾患研究グループ [EPOCH (Ehime Pancreato-cholangiology) Study Group] の皆様、ご協力いただき誠にありがとうございました!

松岡海南先生が12月18日(日)に開催された第127回日本内科学会四国地方会において、初期臨床研修医奨励賞を受賞されました。便潜血検査を契機に発見された無症状メトロニダゾール抵抗性アメーバ性大腸炎について、素晴らしいプレゼンテーションを行いました。

本人からのコメントです。
今回は、メトロニダゾール抵抗性アメーバ性大腸炎に対し、パロモマイシンが有効であった症例について発表させていただきました。本症例は、メトロニダゾール1500mg/日を10日間内服しましたが内視鏡所見で改善がなく、嚢子も検出されたため、メトロニダゾール2250mg/日を10日間内服した後、パロモマイシン1500mg/日を10日間内服し、治癒が得られました。メトロニダゾール抵抗性アメーバ性大腸炎は本邦では6例報告されており、その多くがメトロニダゾールとパロモマイシンの併用で治癒しています。アメーバ性大腸炎の診療の際には、メトロニダゾール抵抗例も念頭に治療する必要があると考えます。
最後に、この度はこのような貴重な機会をいただきましたことに改めて感謝いたします。
まだまだ至らない点も多いですが、今後とも精進を重ねてまいります。ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

指導医(山本安則先生)よりコメントです。
 松岡先生には、他科研修で忙しい中、下調べから発表までとても熱心に取り組んでいただきました。いつも明るくて芯がしっかりしているため、仕事を任せても安心感があります。春からは、ついに消化器内科の道へ!これからも、一緒に仕事ができるのを楽しみにしています。また、今回は専攻医の丹下正章先生にも抄録作成時からたくさんご指導いただきました。重ねてお礼申し上げます。これからも一緒に消化管グループを盛り上げていきましょう!

済生会今治病院の八木専先生の論文「Association between Mucosal Healing and Lipid Profiles in Patients with Ulcerative Colitis: A Cross-Sectional Study」が「Digestion」に掲載されることになりました。

以下、八木先生からのコメントです。

最近の報告によると、潰瘍性大腸炎(UC)が心血管疾患(CVD)の危険因子であることが示されました。また、脂質異常症は、CVDの十分に確立された危険因子です。ただし、脂質を考慮した炎症性腸疾患 (IBD)に関する論文は限られ、さらに、IBD患者の内視鏡活動と脂質との関連を評価した研究はありません。そこで、UC患者の粘膜治癒(MH)と脂質との関連性を検討しました。今回、MHをMayo endoscopic score (MES) 0とし、221名を対象に解析した結果、脂質異常症の治療を受けていない患者では、高HDL-C (>66 mg/dL)はMHと有意に正の関連がありました (オッズ比 [OR] 2.58、95% CI: 1.04–6.64、p=0.037)。またT-cholとTGは、脂質異常症の治療薬に関係なく、MHと関連していませんでした。以上からMHは、脂質の投薬を受けていないUC患者のHDL-Cと有意に正の関連があったことを報告させていただきました。我々の研究により、疾患の状態により、MHとHDL-Cの関連性に影響を与える可能性があると考えています。

最後に、今回は愛媛潰瘍性大腸炎研究 第12報目となりますが、いつもご指導ご鞭撻を頂いております同門の先生方に、この場をかりて感謝申し上げます。この様に論文が掲載されましたのも、先生方に日頃臨床で助けて頂いているおかげである思います。今後とも、日常診療や論文という形で還元できればと考えています。今後ともよろしくお願い申し上げます。

教室の矢野怜先生が2022年11月25日から26日に開催された第44回日本肝臓学会東部会で若手症例報告奨励賞を受賞されました。

肝細胞癌に対してアテゾリズマブ、ベバシズマブを投与しabscopal効果がおきCRが得られた症例報告を行い評価をいただきました。
おめでとう! (廣岡先生からのコメントです)

10月27日から開催されているJDDW2022(福岡)で今年もエコーハンズオンセミナーを開催しました。日浅教授と近畿大の南先生の企画により、午前が診断エコー、午後が治療エコーを中心にライブデモンストレーションが行われました。当教室からもインストラクターで廣岡と小泉が、被験者で中谷が参加しています。初めに久留米大学の黒松先生から久留米大学伝統の左からのスクリーニングエコーと体位変換を惜しみなく披露いただきました。さらに肝血流ドップラーや胆嚢・膵臓の描出、エラストグラフィの適切な方法などのレクチャーが行われました。午後からはラジオ波やマイクロ波の穿刺を最先端のエコー装置を活用しながらデモを行いました。指紋認証や顔認証を応用したフィリップス社のautoregistrationなど最先端の機能にも触れた楽しいセミナーとなりました。そして最後の討論会は白熱し過ぎてやっぱり時間超過でした。来年も続く予定です。

愛媛大学医学部附属病院 光学医療診療部の山本安則先生と愛媛大学総合健康センターの古川慎哉教授が共同で投稿しておりました、日本人若年層におけるBMIと過敏性腸症候群(IBS)に関する論文がInternational Journal of Colorectal Disease(IF 2.796)にアクセプトされました。

山本安則先生からのコメントです。

肥満度(BMI)と過敏性腸症候群(IBS)の関連は、アジア人集団では一貫しておりません。また、若年層におけるこの問題についてのエビデンスは存在しておりません。そこで、本研究では日本人の若年層におけるBMIとIBSの関連性を検討しました。
愛媛大学新入生8,923名を対象に解析した結果、IBSの有病率は6.5%、女性の有病率が男性よりも有意に高い結果でした(6.0% vs. 7.2%, p = 0.029)。また、女性では、体重過多(BMI≧25 kg/m2)であることがIBSと独立して正の相関を示しました(調整後オッズ比 [OR]。1.81[95%信頼区間(CI):1.13-2.79])。一方、男性では、BMIとIBSとの関連はみられませんでした。
肥満(過体重)は、腸管透過性や結腸および直腸における便通過速度を更新させることが報告されています。また女性の過体重は、特に不安やうつ病の発症リスクを増加させ、これはIBSのリスクともオーバーラップします。我々のこれまでの研究において、運動習慣がIBSに対し予防的に働くことが示されており、若年女性にとって、肥満予防と運動習慣はより重要かもしれません。

本研究では多くの愛媛大学の学生さんの協力によって行うことができました。また加えて、愛媛大学総合健康センタースタッフや学生健診にご協力いただいております先生へ感謝申し上げたいと思います。
引き続き宜しくお願い申し上げます。

 
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愛媛大学大学院
消化器・内分泌・代謝内科学
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