宇都宮先生の論文がJournal of Gastroenterologyにacceptされました
2017年1月5日 8:51 AM
論文名:Upregulated absorption of dietary palmitic acids with changes in intestinal transporters in non-alcoholic steatohepatitis (NASH)
掲載誌:Journal of Gastroenterology
以下、宇都宮先生からのコメントです。
山本安則先生、池田先生、日浅先生をはじめとする第3内科の先生の熱心なご指導、角﨑さん、藤野さんら技官さんのご協力のもと、学位論文が今回アクセプトとなりました。論文完成からアクセプトまでに苦労しましたが、最終的に本当に大きな大きなバックアップに助けられ一つの形になったこと、今は感謝の言葉しか見つかりません。
研究内容としては「NASH患者におけるCD36とMTTPのアップレギュレーションに伴うパルミチン酸の吸収増加と肝臓の脂肪化・線維化との関わり」を明らかとしました。飽和脂肪酸は肝臓に炎症・脂肪化・線維化を惹起し、NASHを誘発することが知られています。これまでNASHでは、飽和脂肪酸の肝臓での新規合成、内臓脂肪由来の供給増加については増加することが報告されておりました。しかしながら、腸管由来の飽和脂肪酸の吸収動態については明らかとなっていませんでした。そこで、肝毒性の面で注目されているパルミチン酸を安定同位体で標識し、内視鏡で投与後に呼気を採取することで、パルミチン酸の腸管吸収動態の変化を評価しました。また、生検組織を用いたメカニズムの解明や肝病態との関わりについても検討しました。その結果、NASHではトランスポーターであるCD36とMTTPのアップレギュレーションに伴ってパルミチン酸の腸管吸収は増加しており、特に、門脈のパルミチン酸吸収増加は肝臓の脂肪化・線維化と関連することを明らかにすることができました。
今回の成果はほんの一握りですが、これまでこの実験を築き上げていただいた山本先生から受けついだバトンをまたさらに磨いて次へバトンを渡せるよう努力していきたいと思っています。繰り返しにはなりますが、今回一番お世話になりました山本先生、池田先生、日浅先生にこの場をお借りしまして深く感謝申し上げます。今後も初志貫徹、大学院の経験を生かし精進して参りたいと思いますのでご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします