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抄読会要約まとめのご報告(第11回目)
 

お知らせ

第三内科で行われた抄読会の内容要約を週1回、同門メールにて現在までお知らせしてまいりました。第三内科ホームページ上でも抄読会内容を確認したいという希望がありましたので、定期的に今後更新してまいります。

第11回目報告をさせていただきます。

[過去抄読会要約のURLリンク]

平成23年

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平成24年

4月

6月

8月

2012年9

抄読者 畔元信明
論文名 Determinant-Based Classification of Acute Pancreatitis Severity An International Multidisciplinary Consultation
著者 Dellinger EP, Forsmark CE, Layer P, Maraví-Poma E, Petrov MS, Shimosegawa T, Siriwardena AK, Uomo G, Whitcomb DC
reference Annals of Surgery 2012; 00: 1-6
サマリー
【目的】evidenceを集め、worldwideな新しい急性膵炎重症度の分類の骨格をつくることを目的とした。

【背景】

Atlanta基準による急性膵炎の重症度分類は経験に基づいてつくられており、不十分である。

【方法】

新しい急性膵炎重症度分類を決めるために、最近、急性膵炎について積極的に臨床的な研究を行っているすべての外科医、消化器内科医、内科医、集中治療医、放射線科医に対して参加を求めた。参加については学会、役職、国籍に制限は設けなかった。

【結果】

新しい重症度分類では膵局所と臓器障害の状態の因子の2つに基づいて行った。局所因子については膵壊死(または膵周囲壊死)があるかどうか、またあるならその部位が感染をしているかどうかで分類した。また臓器障害については臓器不全があるかどうか、あるならば一過性か持続性かで分類を行った。また局所因子と組織障害の因子を組み合わせて4つのカテゴリー(mild, moderate, severe, critical)に分類した。

【結論】

この分類は49か国から膵臓学者が参加し議論した結果である。今後はこの分類が世界中で使用されるようなり得る。

抄読者 川崎 敬太郎
論文名 Antibiotics and adiposity
著者 HARRY J. FLINT
reference Nature (Published 30 August 2012)
サマリー
【背景】50年以上前から、太らせることを目的に鳥や豚などの家畜を低用量の抗生物質を長期間投与されてきた。耐性菌の問題から現在は規制されているが、この機序は完全に解明されてはいなかった。

【方法・結果】

治療に使われるよりも少ない量の抗生剤を7週齢から投与し続けたマウスで、脂肪量の増加が確認された。その機序として、抗生剤投与において腸内細菌叢が変化しより効率的にエネルギーを吸収させるように、炭水化物を短鎖脂肪酸に変換する微生物が増えることが報告された。

抄読者 山西浩文
論文名 Plasma antibodies to oral bacteria and risk of pancreatic cancer in a large European prospective cohort study
著者 Division of Biology and Medicine, Brown University, Providence, Rhode Island, USA.
reference Gut. 2012 Sep 18
サマリー
【背景】 膵癌は半数以上の患者が診断から6ヶ月以内に死亡する予後不良な疾患であり、早期発見が重要となる。しかし、これまでスクリーニングとして用いることが可能なバイオマーカーは存在しない。

これまで歯周病や歯牙欠損と膵癌との関連が報告されている。口腔内細菌と膵臓から分離された細菌叢は、特に膵炎時、同じであること、細菌は血行性に膵臓に到達し膵疾患の進展に関与していることが報告されている。

【目的】

25種類の口腔内細菌に対する抗体と膵癌との関連性を検討する。

【方法】

膵癌患者405症例の診断前の血清を用いて口腔内細菌に対する抗体を測定し416名のコントロールと比較検討した。

【結果】

膵癌患者ではP gingivalis ATTC 53978(歯周病の原因菌の一つ)に対する抗体がコントロールと比較して有意に上昇していた。この細菌に対する抗体が200ng/ml以上の群と200ng/ml以下の群で比較したところ膵癌のリスクは2.14倍になった。一方、非病原性である常在菌との関連を検討したところ、常在菌に対する抗体が多い場合、膵癌のリスクは45%減少した。

【結論】

歯周病は膵癌のリスクに関与していると考えられる。また、病原性の口腔内細菌の増殖を抑制する常在菌に対する抗体が高い場合には膵癌のリスクは減少する。今後、口腔内細菌が膵癌の病態に直接関与しているか、また膵癌のバイオマーカーとなりえるか検討する必要がある。

抄読者 小泉洋平
論文名 Eltrombopag before procedures in patients with cirrhosis and thrombocytopenia.
著者 Afdhal NH, Giannini EG, Tayyab G, Mohsin A, Lee JW, Andriulli A, Jeffers L, McHutchison J, Chen PJ, Han KH, Campbell F, Hyde D, Brainsky A, Theodore D; ELEVATE Study Group.
reference N Engl J Med. 2012 Aug 23;367(8):716-24.
サマリー
【背景】エルトロンボパグ(商品名はレボレードで本邦での最大容量は50mg/日、ITPの治療薬として使用)は,経口トロンボポエチン受容体作用薬である.この試験では,血小板減少症と慢性肝疾患を有し,待期的侵襲的処置が施行される患者において,エルトロンボパグの血小板数増加と血小板輸血の必要性の低下について有効性を評価した.

【目的】

種々の原因による慢性肝疾患を有し,血小板数が 50,000/mm3 未満の患者 292 例を,待期的侵襲的処置の施行前 14 日間にエルトロンボパグ 75 mg/日を投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.処置は最終投与から 5 日以内に施行することとした.主要エンドポイントは処置前,処置中,処置 7 日後までの血小板輸血の回避とした.主要な副次的エンドポイントはこの期間中における出血の発生(WHO の分類でグレード 2 以上)とした.

【結果】

血小板輸血は,エルトロンボパグ群 145 例中 104 例(72%)と,プラセボ群 147 例中 28 例(19%)で回避された(P<0.001).WHO 分類グレード 2 以上の出血エピソードについては,エルトロンボパグ群とプラセボ群とのあいだに有意差は認められず,それぞれ患者の 17%と 23%で報告された.門脈系の血栓イベントがエルトロンボパグ群の 6 例とプラセボ群の 1 例で認められ,試験を早期終了することとなった.他の有害事象の発生率と重症度は,エルトロンボパグ群とプラセボ群とで同程度であった.

(※Plt20万以上の症例では特に門脈血栓がみられる事があり,Plt高値例の場合には注意を要する)

【結論】

慢性肝疾患を有し,待期的侵襲的処置を施行する患者において,エルトロンボパグにより血小板輸血の必要性は低下したが,エルトロンボパグはプラセボよりも高い門脈血栓症の発生率と関連していた

抄読者 小泉光仁
論文名 Similar Efficacies of Biliary, With or Without Pancreatic, Sphincterotomy in Treatment of Idiopathic Recurrent Acute Pancreatitis
著者 Coté GA, Imperiale TF, Schmidt SE, Fogel E, Lehman G, McHenry L, Watkins J, Sherman S.
reference Gastroenterology. 2012 Sep 11. pii: S0016-5085(12)01315-7. doi: 10.1053/j.gastro.2012.09.006. [Epub ahead of print]
サマリー
【背景】急性膵炎の30%程度は特発性に分類される。十二指腸乳頭括約筋機能障害(Sphincter of Oddi Dysfunction; SOD)は特発性再発性急性膵炎における原因の一つと考えられている。SODの治療に有用であるとされている十二指腸乳頭切開術の治療効果を評価した。

【方法】

特発性再発性急性膵炎139例のうちERCPで原因の明らかとなった50例を除き、89例の乳頭括約筋内圧(sphincter of Oddi manometry、 膵管)を測定した。

【結果】

胆管EST群の48%、胆管+膵管EST群の47.2%に急性膵炎が発症した。(観察期間中央値78か月)

【結論】

十二指腸乳頭機能障害SOD症例において胆管ESTと胆管+膵管ESTの急性膵炎再発予防効果は同程度であった。(膵管ESTによる追加効果は得られなかった。)

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消化器・内分泌・代謝内科学
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