有光先生の研究成果がThe European Journal of Pharmacologyにacceptされました
2014年10月21日 9:09 AM
以下 有光先生からのコメントです
日浅教授,池田先生をはじめとした第三内科の先生や薬理学講座の前山教授,さらには共同研究先であります愛媛大学プロテオサイエンスセンタ-の先生方にも多大なるご迷惑をおかけしましたが,今回なんとかacceptまでたどり着くことができました.本当に感謝しております.研究の内容としては,「無細胞蛋白質合成法を用いて合成した膜蛋白質受容体が,結合能を有している」という論文です.
創薬タ-ゲットとして、細胞膜に存在する膜蛋白質受容体は重要です。細胞間を行き来する化学物質の多くは、膜蛋白質に結合することにより制御されています。また市販されている薬の約半数は、膜蛋白質受容体に結合してその薬効を発揮します。これまで、膜蛋白質受容体の研究が取り組まれてきましたが、生きた細胞から機能を保持したまま取り出す方法は難しく、また従来の蛋白質合成方法を用いても活性をもった膜蛋白質の合成は困難とされてきました。今回我々は愛媛大学で開発された小麦胚芽無細胞技術を基盤に、膜蛋白質の活性を保持した状態で合成できる技術の開発を目指して、この研究に取り組みました。この検討結果をふまえて、今後は消化管ホルモンの受容体である膜蛋白質の機能解析と新薬開発において、有効活用できるのではないかという報告をさせていただきました。
基礎実験にどっぷりと使った生活であったため、思ったような結果が得られなかったときには、目の前が遠のくような感じでありました。逃げ出したいと思ったことも多々ありましたが、多くの先生方のご協力を得て、なんとか論文が完成し、大学院を卒業することができました。物事をもう一度深く考えること、万人に納得してもらうにはどうしたらよいか、今回の論文作成を通して多くのことを学ぶことができたのではないかと思います。これからもどうぞ宜しくお願いします。