黒田先生の門脈圧亢進症と膵うっ血,インスリン分泌についての研究成果がJ Gastroenterolにacceptされました
2014年10月16日 7:16 PM
論文名:Pancreatic congestion in liver cirrhosis correlates with impaired insulin secretion.
以下、黒田先生からのコメントです。
廣岡先生,熊木先生,日浅先生をはじめとした第3内科の先生,さらには病理の先生にも多大なるご迷惑をおかけしましたが,今回なんとかacceptまでたどり着けました.本当に感謝,感激です.
内容としては,「門脈圧亢進症を伴う肝硬変患者には膵うっ血の病態が存在し,そのためにインスリン分泌が低下している」という論文です.
肝硬変患者ではしばしば肝性糖尿病を合併し,病的な高血糖や低血糖を引き起こすことが知られています.しかし,肝硬変患者特有の代謝障害や栄養障害のため,その治療に難渋するケースが多くみられます.一方,肝性糖尿病の発症機序に関しては,いくつかの報告があるもののいまだ不明な点が多いというのが現状です.今回我々は糖尿病発症において極めて重要な臓器である膵に着目し,この研究を行うに至りました.この検討結果をふまえて,今後肝性糖尿病治療において門脈圧亢進が何らかのキーファクターになるのではないかという報告をさせていただきました.
もともと大学院入学に関しては全く頭になかったため,ちょっとしたきっかけでうっかり入学を決めてしまい,当時はかなり戸惑いや不安が多かったのですが,多くの先生方のご協力を得てなんとか無事論文が完成しました.今回の論文作成を通じて多くのことを学ぶことができ,今後の医師人生にとっても大きな糧になったのではないかと思います.これからもこの経験を生かして,少しでも多くの人の役に立てるような仕事をしていきたいと思います.